庄司紗矢香と小菅優
今、日本人の若手で最も注目を集めている演奏家がヴァイオリンの庄司紗矢香と小菅優の2人でしょう。この2人のデュオとなれば聴かないわけにはいきません。ただ、会場がオペラ向きの兵庫県立芸術文化センター大ホールということで広すぎないか心配しましたが、結果的には十分問題ない音響でした。
さて、演奏の方も旬の2人だけあり、期待を裏切らないできでした。
最初はベートーヴェンの「スプリング・ソナタ」です。室内楽といえば、各奏者の対話にも例えられるもので、議論や場合によってはつかみ合いのような強烈な演奏もありますが、今日の2人は若いだけに女子校生の会話のようです。お互いの会話によって、会話の内容が影響されるわけではなく、2人で思い思いの話をしているが、それでいて2人の空間というか親密な雰囲気を形成する、そんな感じの演奏です。春らしくほんわかとした感じの演奏で、それでいて眠気を誘うわけでもなく、春の陽だまりに身をおくような充実感に包まれる演奏でした。
2曲目は小菅さんによる同じくベートーヴェンの「熱情ソナタ」。最近、小菅さんがあちこちで弾いておられるだけに表現は練られて、すべてのフレーズが意味を持つかのような密度の高い演奏です。ホールの大きさをものともしない、というか逆にホールが大きいからこそ、最大限のダイナミクスを使い、それでいてうるさすぎないという条件で成立するスケールの大きな演奏でした。
後半1曲目は、庄司さんによるバッハの「シャコンヌ」。無伴奏ヴァイオリン曲の最高峰とも称される曲だが、その高みに至るには庄司さんでは若すぎるのか、それとも会場がよくなかったか。表現、音色とも少し堅苦しく窮屈な感じがしました。下手な細工が通用する曲ではないですが、あまり庄司さんの魅力が伝わってこない気がしました。
最後はリヒャルトシュトラウスの「ヴァイオリン・ソナタ」。こちらは、庄司さんがリードし、それに小菅さんが絶妙に合わせたような演奏。いささか退屈なところがないでもないが、そこはRシュトラウスの曲のせいかもしれない。全体的にはメリハリも効いて、十分に満足できる出来でした。
この2人、それぞれヨーロッパで活躍しており、なかなか出会う機会がないかもしれないですが、これを契機に1年に1度でもデュオを聴かしてもらいたいものです。
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