大友直人のエルガー
大友さんが京響の常任指揮者になって7年目であるが、常任としては最後のシーズンを迎える。最近では、以前の定期で取り上げた曲を再び取り上げることも多く、正直7年というのは長いかなとも思われる。今日の定期で演奏されたエルガーの交響曲1番も、4年前に取り上げたばかりである。
しかしながら、聴いてみると4年前よりは格段の深化が感じられる。エルガーは以前から大友さんの十八番であるから、大友さんの曲への理解が進化したのではなく、大友さんと京響の関係が深化したのであろう。以前は、ひたすら長い中にいきなり金管がバカバカ鳴りたてる騒々しい曲であったが、今日はまさにノビリメンテ(気品のある)で、かつ、堂々とした演奏であった。まさに、京響との関係が一番深まった最良の時期に、自分の最も得意とする音楽でもってその成果を聴衆の脳裏に刻みつけようとするかの演奏である。
その前に演奏されたエルガーのチェロ協奏曲も素晴らしい。独奏の横坂源は初めて聴くが、最近聴いた若手のチェリストでは断然すばらしい。この間聴いた古川さんを上回ることは言うまでもない(古川さんも5年前に京響とこの曲を共演している。)。
エルガーのチェロ協奏曲というと、デュプレの演奏を思わずにはいられない。何枚かあるCDでもついデュプレを選んで聴いてしまうが、横坂さんの演奏にはデュプレにも通じるパッションが感じられる。高い音でも音の厚みをもったまま、一気に突入し、チェロが叫んでいるかのような音を引き出す。一方、チェロ本来の低い音域もオーケストラに負けない堂々とした響きでもってチェロの魅力を堪能させてくれる。
いつもは協奏曲のときは一歩引いた演奏をすることの多い大友さんであるが、今日はエルガーだからか、それともソリストが若いからか、積極的な演奏で、独奏とがっぷり四つに組んだ音楽を聞かせてくれた。
大友さんは、歴代の常任指揮者の中では個性が薄く、後世ではあまり特徴のない時代と語られるかもしれないが、今日の演奏会などは、まさしく大友時代を象徴する一つの演奏として、将来語られるような演奏になったのではないかと思う。
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