歌わせたい男たち
永井愛作・演出の「歌わせたい男たち」を見る(30日・びわ湖ホール)。
これは、ある都立学校において君が代の伴奏をする音楽教師と、それに反対する社会化教師、君が代を全員に歌わせたい校長らが繰り広げられるコメディーである。以前、上演されたときに話題になった作品だが、そのときは都合がつかず見られなかったのであるが、今回、再演に際し、ようやく見ることができた。
さて、なかなかよくできた芝居である。君が代の伴奏に関しては、劇中でも触れられているように裁判になっており、タイムリーでもあり社会性もある。しかし、舞台は一学校の音楽教師、社会科教師、校長らのきわめて人間性のあるミクロな物語でもある。そして、大いに笑えて、考えさせられて、・・・そして少し怖くなる話である。
この作品、外国の人に説明しても、今、現にこの日本で起きている話だとはとうてい信じてもらえなかったという話を聞いたが、日本人である我々が見たら、すごく理解できる話でもある。君が代を強制するのはおかしいという社会化教師の主張も、愛国心を養うためにも君が代を歌わせようとする校長も、主義主張にこだわらないいわゆるノンポリの音楽教師も、みんな身近にいる人たちである。
そして議論をしても、議論にならず、次第に感情論や泣き落としになるというのも、日本人の本質をついている。まさに、現代を、日本を、我々を描いた作品である。
最後は、舞台では結論は出ない。音楽教師は君が代を弾いたのか。社会科教師は起立したのか。いろいろな解釈があると思う。そう、いろいろ考えられるのが芸術のよさなのだ。この考える余地を残すという演劇の終わり方が、この問題に対する解答なのだ。
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