京フィル定期「古典派への道程」
京都フィルハーモニー室内合奏団定期演奏会を聴く(16日。京都コンサートホール)
今回の聴きものは、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番のソリストを務めた佐藤奏夢さん。これで「かなむ」とお読みする。ご両親もたいそう音楽好きではないかと感じられるお名前であるが、若干19歳、桐朋学園大1回生である。
コンクール受賞歴を見ても、3位などが多いが、なかなかどうして逸材である。今回の指揮者の有田正広さんが共演して惚れ込んだというのもうなずける。
舞台に登場する姿はぎこちないというか、どこか無愛想な感じもするが、ひとたびピアノに向かえば、音楽を口ずさみながら実に楽しそうに演奏される。モーツァルトの魂が舞い降りたというのが言い過ぎならば、「ピアノの森」のカイ並みである。
両端楽章は浮き立つような軽快さ、音楽の高揚と共に自然にテンポが動き、今まさに即興で音楽が生み出されているかのような自由な感じがする。中間楽章の悲しいぐらいに美しい音楽も印象的である。全体の構成力というよりも、その一瞬が素晴らしいというタイプである。
アンコールのトルコ行進曲もまた個性的であり、聴衆をびっくりさせようというサービス精神と、弾いている本人が最も楽しんでいるような、音楽の喜びにあふれた演奏であった。
| 固定リンク


コメント